瀬戸内 開 blog 〜面白き事もなき世を面白く〜

小説家 瀬戸内開のブログ。「新米オジン・クラーク救急医療現場を行く」 文芸社より刊行。2016年4月、紀伊国屋・三省堂書店にて発売。

子育て支援ー夏休みの課題(水辺の生き物しらべ)ーに付き添って

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   小学生の「夏休みの課題(水辺の生き物しらべ)」に付き添った。

      = 木更津市富津の干潟・二子多摩川駅下の多摩川にて =

 あっカニだ!カニ捕まえた、“瀬戸内さんカニ捕まえたよ、ほら見て”と彼の指と同じくらいの小さなカニを得意げに見せる、顔は満面の笑みだ!

 “瀬戸内さん!来てきて変なものがいる、これ何?捕まえてこれ何?”とのことで彼が掘った干潟の穴のなかを両手で救い上げてみると何と「シャコ」だった、“T君、これはシャコって言うんだよ、とても珍しい貴重な生き物だよ良く見つけたね!すごいすごい”と褒めたたえていると、近くにいた子達も寄って来て“シャコ?なにそれ見せてみせて!”ともの珍しそうに触ったり捕まえようとてんでに手をだしてきた。

“だめ!触っちゃだめ、死んじゃう、見るだけ!みるだけだよ”とシャコを見つけた当のT君が慌てて悲鳴の声をあげた。

 そもそもこの子供達皆々が大都会、それも都心中の都心A区に生活拠点をもつ家庭の子達だ、潮の引いた干潟で泥んこになって遊ぶことなんかめったやたらには有り得無い瞬間だった。

 絵本や図鑑では見たり教えてもらってはいる、だが本物のそれらの生き物は初めての事である、更にはそれらが捕まえられる触れる、めったに見つけられない生き物となればみんなの手が出る、触りたくなるのは当然のことだ。

 A区主催行事「親と子のハゼつり&潮干狩り」にそんな都会の子達十数人がこの日参加、其々が夢中・無心になって遊んでいた風景の一場面だ。

その後、T君は泥干潟に足を取られながらも黙々と彼方此方の干潟を掘り返し、アサリ・ヤドカリ・トビハゼらしきドンコや大き目のカニなどを見つけては“瀬戸内さん々々!捕って捕まえて”などと私を呼びまくった。

 カニもやや大きめのものになると“ひゃぁ~爪に挟まれる…捕まえて!”と大わらわな姿に都会の子だなぁと呆れながらも手助けに応じる、“平気々々!大丈夫だからそのまま上から手でつかんしまいなさい!”と応援を送るが捕獲までには至らない。

 色んな生き物に興味津津ながらも初めて見るもの・大き目の生き物にはおっかなびっくりで、干潟のあちこちで歓声や悲鳴が飛び交っていた。

 私は子育ての色んな場面で幼子達に偶々捕れた「セミ・かぶと虫・クワガタ・かみきりむしやトンボ」など等を後学のためとその都度持ち運び「生きた本物を体験」させていますが、そんな場面で都会育ちの母親は「きゃぁ、わぁあー」の悲鳴と共に逃げ回り、子供も母親のその行状に驚き母親に着いて怖いこわいと逃げて行きます (逆に地方出身のお母さん方は“ほらかぶと虫だよセミだよ”と子達に接触を進めますが、やはり日頃目にすることの無い生き物に子達はおっかなびっくりです、ただなかにはガマガエルを手掴みする子がいて此方がびっくり仰天するようなことが稀にはありますが…)。

 疑似生き物のロボットやラジコン生物とは平気で遊ぶ今の子達だが上述の光景は不可思議な現象としてしか私には映りません。

 ちょっとばかり横道に逸れました済みません。

 そんなこんなの事情で此処に来た親や付添人達は子供たちの叫び声・呼び声に右往左往で子達同様に上から下まで泥まみれの始末でした。

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 さて次は二子多摩川での生き物調べです。

此処はA区からは半蔵門線で3~40分と近い二子多摩川駅のほぼ真下にある多摩川の水辺です。

 ここ最近では多摩川も清流化が進み、この日も直ぐそばではアユの友釣りに挑む小父さん二人が25センチ大のアユを数匹釣り上げていました。T君もその釣果に感嘆“瀬戸内さん僕もアユ釣りたい、アユ釣らせて…とせがんできました。

 彼は既に2~3度私とハゼ釣りなどを経験しており釣り竿の扱いは何とか熟せる自信を持っています、釣れたアユを目の当たりに見て彼の胸が疼いてきたのでしょう!

ただ残念ながらこの日は「水辺の生き物」調べでアユ竿など用意していません、彼にはこの日の課題を説諭して浅瀬での生き物捕獲に専念することをさとし、川岸の水草むらを狙ってせっせと角網での獲物の捕獲を指導・督励し、彼が歓声を上げるような生き物を数々捕獲しました。

「ゲンゴロウの子」これはめったにお目に係れないでしょう? T君は大はしゃぎで歓声をあげていました!あと珍しいものでは「ハゼ」、えっこんな処でハゼぇ?これは私も驚きでしたがハゼはもう1匹捕れました(どう見てもハゼ)。

 その他は沼エビが100匹以上、メダカ状の小魚(各種清流魚の子)数種、ヤゴ・ドジョウetcと約2時間の川遊びでT君はほぼ満足したとの顔色を見せてくれましたが、この川遊び、実は彼は川に入るといきなり底石に足を取られ「ざぶ~ん」と転倒!川に入るやいなやずぶ濡れになり帰り際までパンツ一枚での「課題調査」探索の川遊びでした。

 この日は晴天に恵まれて気温も30度超えと川遊びには絶好の条件が整っていましたが、遥か上流・下流を見渡しても子供連れの家族は何処にも見当たりません。私達の川遊びを川土手から1組また1組と子供連れの数家族が暫く見物しては立ち去り、立ち止まっては去りで土手から降りて来ようとする子供連れは1組としてありませんでした。

 この日のT君は、僅か数時間の川遊びでしたがどこか満ち足りた様子で帰り道では何かの鼻うたを歌いながら二子玉駅へ軽い足取りを運んで行きました。